五十音でめぐるワインの旅 <か> 牡蠣とアイラモルト / スコットランド
三半規管が死ぬほどよわい。
子どもの頃はブランコで遊べなかったし、遠足のバスは最前列が定位置、高校を卒業するくらいまでタクシーのそばを通っただけでえづいてた。急行電車で途中下車せず目的地まで行けるようになったのはハタチを過ぎてたと思う。三半規管が完成する前に人類としての進化が止まってしまったにちがいない。
そんなわけだから、海外取材などの乗り物てんこもりのイベントには酔い止めが必須だ。最初のころ、うっかり飲まずに南仏の山岳地帯を走ったときは、「ここに置いていってくれ」と途中の脇道にしゃがみこんで泣いた。
なのに。
一時間かからないし平気かな~などと自分を謎に信じたせいで、グラスゴーからアイラ島に着いたときわたしは死んでた。だって飛行機ちっちゃいし雨降ってて揺れたし!
さらにそこから車で蒸留所に向かうという悪夢。
いやアイラ島で蒸留所に行けるなんてこの世の楽園かっつー幸運ですよねわかってます。
着いた先は憧れの!夢の!アードベグ!びっくりマーク、いやハートマーク100個つけてもいいくらいの聖地。
そこでセラー見学したりテイスティングしたりの至福の時間をすごしまして。
よかった。道中、ピート採掘場に置いて行ってって泣きごと言わなくて。もうあっという間に復活ですよ。そして飲みまくり(いや、「試飲」ね、「試飲」)。
お土産に写真のこの水入れポットとサイクリングシャツ(実はスポーツウェアを集めている。あくまで集めてるだけ)を購入し、髪ぜんぶなくなるんじゃないかっていうくらい後ろ髪ひかれまくりながら帰途に就こうとすると、蒸留所の人が、「お昼にはちょっと遅いけど、街中でレストランを見つけて生牡蠣とアードベグを一緒に楽しむといいよ」と。
直々のお薦めとあっては!やらねば!
ちょうどお腹も空いてきたし。
タクシーを飛ばして町に戻ったのは15時。
ランチタイムが終わり、レストランなんて一軒も開いてません。
ここまできて諦められるか!と根性でクローズの札にめげず一軒一軒、ドアをノックしてもダメなものはダメ。
くーーーーーっ、アイラ島なんて今度いつ来れるかわからないのに~~~
と、ふらふら街中をさまよっていたら、
「コンニチワ!」
と日本語が!
振り向くとそこにはニコニコ笑った女性が。
なんでも日本のテレビ番組がアイラ島でロケをしたときに参加したのだとか。
よっぽどよい思い出になっていたのでしょう、なんだか困っていそうな日本人に声をかけてくれたのでした。
そして事情を説明すると胸をたたき「よっしゃ!任せといて!」と。
知り合いのホテルのレストランを開けさせるから!と!
かくしてめでたく、本当にありがたいことに経験することができたのでした。
アイラ島で生牡蠣とアードベグ!
牡蠣のヨード風味とアイラモルトのピート香がもう完璧な相性!
何個でも食べられる、ていうか喉をすべり落ちていく。
天国?今わたし天国にいる?乗り物酔いで死んじゃった?
とゆーくらいの至福の時間でございました。
お名前忘れちゃったけど、おねえさん、本当にありがとう!
そして彼女によい印象を残してくれた日本のテレビ番組もありがとう!
ちなみにピート採掘はこんな感じ
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